第51章 真の南坂海乃

「わあっ!」

黒谷楓花はどこからそんな力が湧いたのか、自分に水を飲ませていた佐藤詩乃をぐいっと押しのけ、よろよろと競技場へ駆け込んだ。

南坂海乃の前まで一気に走り寄ると、まだ海乃の胸にしがみついていたあやちゃんを、思いきり押した。

「どいて! どいてよ!」

楓花はわんわん泣きながら、押しては叫ぶ。

「それ、楓花のママ! 抱っこしないで! ママは楓花の! うわあああん……!」

あやちゃんはよろけて、びくっとして手を離した。すぐに南坂海乃の背中へ隠れる。

南坂海乃の笑みが、すっと消えた。

目の前で顔を真っ赤にして、泣き喚いて地団駄を踏む娘。その姿を見ても、彼女は今までみたいに慌て...

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